【カロリア】
「……ッ!!」
耳鳴りのような音が響き、私は思わず耳を塞いだ。
【カロリア】
「……ノルン?」
光を放つラティリカの前に立っていたのは……ノルンだった。
どうしてノルンがここに?
【ノルン】
「………………」
【カロリア】
「ノルン?」
いくら呼んでも反応しない。
ノルンは、まるで感情を持たない人形のようにも見えた。
感情の籠もらない紅の瞳には、ただ、ラティリカが映し出されている。
シャン……ッ
【ノルン】
『…………時が、近付いてる……』
【カロリア】
「……?」
ノルンが静かに告げる。
しかしそれは、別人のもののように聞こえた。
【ノルン】
『災いをもたらす……その時が……』
【カロリア】
(……わざ…わい……?)