
【カロリア】
「あれ……もう門番が交代してる!
これじゃあ、正面から出るのは難しいかも。他の方法を考えないと」
【???】
「他の方法とはなんなのか、教えて頂きたいものだ」
【カロリア】
「……!!!
…………ハミル」
私の後ろに立っていたのは、騎士団長のハミルだった。
いつからそこにいたのだろう。
もし、私が城から出ようとしているのがバレたら、まずいことになる。
だって彼は、私の護衛をする任があって、話して理解してくれるような甘い相手ではないから。
【ハミル】
「どこに行くつもりだと聞いているのだが」
【カロリア】
「別に、どこにも……。
ただ、散歩してるだけよ」
【ハミル】
「散歩とは、この一刻を争う時期に、随分と優雅なものだな」
私が儀式に失敗したことは、当然、騎士団長であるハミルの耳にも届いている。
【カロリア】
(だから、この人とは会いたくなかったのに……)
弟のノルンとは似ても似つかない威圧的な態度をとるハミルのことが、昔から苦手だった。
それでなくても、ハミルは私を継承者と認めていないふしがある。
【カロリア】
(どうしよう……。
ハミルに見つかった以上、このまま城の外に出るわけには)